値引シールが、笑顔になった日。ローソン「FOOD GOOD SMILE」のおにぎりが、成田の子どもの居場所に届くまで
夏の午後。成田市内のある「子どもの居場所」に、青いコンテナが運び込まれた。中には、整然と並んだおにぎり。子どもたちは後ろ姿で手を伸ばし、受け取ったおにぎりを両手で掲げてみせた。
このおにぎりは、誰かが「寄贈」したものではない。原資は、コンビニのレジを通ったわたしたちの買い物である。
NARITA TIME編集部は、この日の配布と、関わったふたりの話を記録した。
「1個につき、1円」——レジで起こっていること
ローソンの「FOOD GOOD SMILE」は、消費期限が近づき黄色い値引シールが貼られた対象商品を、お客が購入することで動き出すプログラムだ。掲げられたタグラインは「おトクを選べば、みんなが笑顔に。」
仕組みを、ローソンの担当者はこう説明する。
「店頭で値引きシールが貼られた対象商品をお客様にご購入いただくと、食品ロス削減につながるとともに、(期間によって)1個につき1円がお子様たちの食事の支援として寄付されるという仕組みになっています。」
おトクな買い物と、食品ロスの削減と、子どもの食事支援。レジの一回で、その三つが同時に起こる。値引シールを選んだ客は、知らないうちに小さな寄付者になっている。
配布の現場で
寄付はおにぎりというかたちになり、一般社団法人SMILE SKY LAB.の手で、成田市内の子どもの居場所に届けられた。
この日の配布には、医療法人鳳生会 成田病院の藤﨑康人理事長・院長も白衣姿で立ち会い、スタッフやローソンの担当者とともに、子どもたちへおにぎりを手渡した。藤﨑理事長は、参道の旧藤立病院から数えておよそ120年、成田の地域医療を担ってきた成田病院のトップである(本誌のインタビュー記事はこちら ※成田病院インタビュー記事へ内部リンク)。地域の医療者が、子どもの居場所に自然に顔を出している——その光景自体が、この街の距離の近さを物語っていた。
配布のあとには、大人も子どもも一緒におにぎりを掲げて記念撮影。窓からの光の中で、たくさんの小さな手が挙がった。
なぜ、おにぎりなのか
SMILE SKY LAB.は、普段は学習支援を通じて子どもの居場所づくりに取り組んでいる団体だ。今回の配布は、成田市からの声かけがきっかけだったという。
「子どもたちにとって食事は、単にお腹を満たすというだけのことではなくて。一緒に食べたりとか、おいしいと言える人がいたりとか、声を掛け合ったり。人とのつながりがあって食事をするということは食育につながって、安心感につながる」
日々の活動の中で、子どもたちと一緒にお菓子を食べ、差し入れを分け合いながら、それを実感してきた。だから、届けるのは「おにぎり」でよかった。むしろ、おにぎりがよかったのだ。
「この活動を一時的なイベントで終わらせるんじゃなくて、今後も地域の方々と協力しながら、このような取り組みにつながっていけたら」
「一人じゃないんだ」と思える場所
夏休みは、子どもによっては長くて心細い季節でもある。
「夏休みや事情によっては、十分にお食事を取ることができなかったり、一人で過ごすことが多いお子さんも中にいらっしゃるので。ここに来れば誰かがいるとか、一人じゃないんだという安心感をお子さんが持てる居場所を提供できれば」
食事の提供だけが目的ではない、とも話す。子どもたちと地域の大人や学生が自然に交流し、困ったときに頼れる人や場所があると知ってもらうこと。長い夏休みだからこそ、地域みんなで子どもを育てていく環境をつくりたいのだと。
活動でいちばん大切にしていることを聞くと、答えは静かだった。
「『助けてほしい』『困っている』ということを、子どもたちが素直に言えるような環境づくりができること。それを一番大切にして、私たちは活動をしています」
むすび
レジ前で黄色い値引シールを選ぶ。それだけで、この街の誰かの夏が少し変わる。
空港だけじゃないこの街の営みを、NARITA TIMEはこれからも記録していく。
プログラム提供:ローソン「FOOD GOOD SMILE」(おトクを選べば、みんなが笑顔に。)
配布実施:一般社団法人 SMILE SKY LAB.
取材・記録:NARITA TIME編集部
※本記事に登場するお子さんの写真は、顔が写らないもののみを使用しています。配布会場の施設名・所在地は、利用されるお子さんへの配慮から記載していません。