成田空港の第3滑走路(C滑走路)はいつ?予定地・着工・用地買収の現状と、元航空局長が語る「成田の発展は間違いない」
成田空港の3本目の滑走路(C滑走路。新滑走路、滑走路の増設・拡張とも呼ばれる)は、当初2029年3月末の供用予定だったが延期され、2026年7月時点で新しい時期は示されていない。先に動くのはB滑走路の延伸で、2029年度内の先行供用を目指す。C滑走路が完成すれば、年間発着容量は50万回になる。その先の成田について、元国土交通省航空局長の久保田雅晴氏は「成田の発展は、間違いない」と言い切った。
この記事では前半で、第3滑走路の「いつ・どこ・どこまで進んだか」を公的な資料で整理する。後半は、国の側で成田空港に長く関わってきた久保田氏のインタビュー(動画2分25秒)を全文で記録する。
- いつ:C滑走路は未定。B滑走路の延伸部は2029年度内が目標
- どこ:B滑走路の南側に、A・B滑走路と平行に3,500mを新設。成田市・多古町・芝山町にまたがる
- 進捗:2025年5月に本格着工。C滑走路の用地は土地収用制度の活用へ
- 発着回数:実績は年間約25万回。計画上の容量は30万回から50万回へ
- 久保田氏の言葉:空港と地元の歴史は「本当のボタンの掛け違い」。それを先人が変えた。「成田の発展は間違いない」「便益を日本の隅々まで」
(C滑走路の時期は未定)
(2026年6月末)
(合意前の容量は30万回)
成田空港の第3滑走路(C滑走路)はいつできる?【2026年7月時点】
答えは「C滑走路は未定、B滑走路の延伸は2029年度内」である。経緯を順に示す。
- 2018年3月13日国、千葉県、空港周辺の自治体、成田国際空港株式会社の四者協議会が「更なる機能強化」に正式合意。C滑走路の新設、B滑走路の延伸、夜間飛行制限の変更で、年間発着容量を30万回から50万回へ(千葉県の発表)
- 2020年1月31日国土交通省が空港の変更許可。供用予定は両滑走路とも2029年3月31日(国土交通省の発表)
- 2025年5月B滑走路の延伸、C滑走路の新設とも本格着工(Aviation Wireの報道、2025年4月4日)
- 2025年6月12日四者協議会が、これらの事業の愛称を「成田空港第2の開港プロジェクト」に決定(千葉県の発表)
- 2025年10月26日既存2本の滑走路での年間発着枠を30万回から34万回に拡大(2025年1月24日に四者が合意、冬ダイヤから適用。訪日ラボの記事、共同通信の記事)
- 2026年4月2日成田国際空港株式会社が国土交通大臣に報告。両滑走路とも供用を延期し、用地が確保できているB滑走路の延伸部を先行して供用、2029年度内の開始を目指す。C滑走路の新しい時期は示さず。国土交通大臣は「任意取得に限界が見えつつある」と述べ、土地収用法に基づく手続きの検討を表明(Aviation Wireの報道、2026年4月3日)
- 2026年7月10日四者協議会が「2029年度内の先行供用に向けて取組を進める」ことを確認。C滑走路の区域は「土地収用制度を活用することをやむを得ないものと受け止める」(千葉県「成田空港に関する四者協議会」)
第3滑走路(新滑走路)の予定地・場所
C滑走路は、現在のB滑走路の南側に、A滑走路・B滑走路と平行に新設される。長さは3,500m。事業の区域は成田市、香取郡多古町、山武郡芝山町にまたがる(環境省「成田空港の更なる機能強化に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見」)。あわせてB滑走路は北側に1,000m延伸し、2,500mから3,500mになる。現在の滑走路はA滑走路4,000m、B滑走路2,500mの2本で、完成後は3本になる。

着工・用地買収の進捗
| 着工 | 2025年5月に本格着工(B滑走路の延伸、C滑走路の新設とも) |
|---|---|
| 用地確保率 | 2026年3月末で全体89.7%(B滑走路の区域99.5%、C滑走路の区域88.7%)。2026年6月末で全体90.4% |
| C滑走路の用地 | 任意の取得が難航し、2026年4月に国土交通大臣が土地収用法に基づく手続きの検討を表明。7月の四者協議会は「土地収用制度を活用することをやむを得ないものと受け止める」とした |
| 先行供用 | 用地が確保できているB滑走路の延伸部を先に使う。目標は2029年度内。先行供用後の発着枠は示されていない。年間50万回はC滑走路の完成が前提 |
成田空港の発着回数|年間の推移と上限、50万回の意味
久保田氏の言う「年間50万回」は、C滑走路の新設、B滑走路の延伸、夜間飛行制限の変更がそろって達成される年間発着容量である。実績と発着枠は次のとおり。

| 年度 | 総発着回数 | 補足・出典 |
|---|---|---|
| 2019年度 | 25.8万回 | コロナ前の過去最高(成田空港周辺地域共生財団の報告書) |
| 2020年度 | 10.6万回 | コロナ禍で減少(同上) |
| 2023年度 | 22.0万回 | 2019年度の約8割まで回復(同上) |
| 2025年度 | 25.4万回 | 速報値。5年連続で前年度を上回る。国際線の発着回数と外国人旅客数(2,410万人)は過去最高(Aviation Wireの報道、2026年5月11日) |
「発着枠」と「発着容量」は別の数字である。発着枠は既存2本の滑走路で運用上認められている上限、発着容量は滑走路を増やしたあとの計画上の上限を指す。
| 発着枠(〜2025年10月) | 年間30万回。2010年10月13日の四者協議会で22万回から30万回への拡大に合意(国土交通大臣の談話) |
|---|---|
| 発着枠(2025年10月26日〜) | 年間34万回。訪日客の増加による航空需要の高まりを受け、2025年1月24日に四者が合意し、冬ダイヤから拡大(15年ぶり) |
| 機能強化後の容量 | 年間50万回。2018年3月の合意で30万回から50万回へ。C滑走路の完成が前提 |
成田空港の歴史をわかりやすく|反対運動はなぜ起きたか、「ボタンの掛け違い」とは
元国土交通省航空局長の久保田雅晴氏は、空港と地元の歴史をこう言い表した。
本当のボタンの掛け違い、不幸な歴史が本当にあったと思います。
久保田雅晴氏(動画 0:24)
その歴史を変えたのは「先人たち、地元の皆さん、そして行政、自治体、国」の「多大な努力」だと久保田氏は言う。久保田氏が「ボタンの掛け違い」と呼ぶ経緯は、次のとおりである。
- 1966年7月閣議で、成田市三里塚を中心とした地区に空港を建設することが決まる。当初の候補地だった富里側で反対運動が強まり、政府が場所を変えた経緯がある。建設地の決定と前後して反対同盟が結成された
- 1978年5月用地の取得が進まず、A滑走路1本で開港。閣議決定から約12年
- 1991年11月国、空港会社、千葉県、反対同盟が初めて一堂に会する「成田空港問題シンポジウム」。続く「成田空港問題円卓会議」が1994年10月に終わるまで、3年の話し合いで対立構造は解消された(成田国際空港株式会社「共生への転換」)
- 1995年〜地域との共生を話し合う委員会が始まる
- 2015年9月〜2018年3月四者協議会で「更なる機能強化」を協議し、合意。合意した2018年3月、久保田氏は国土交通省航空局の航空ネットワーク部長(2017年7月〜2019年7月)だった
元国土交通省航空局長・久保田雅晴氏が語る、成田のこれから
| 氏名 | 久保田雅晴(くぼた・まさはる) |
|---|---|
| 経歴 | 1988年に運輸省(現 国土交通省)に入省。航空局で航空事業課長、航空ネットワーク企画課長を経て、航空ネットワーク部長(2017年7月〜2019年7月)。大臣官房総括審議官、公共交通・物流政策審議官を経て、国土交通省航空局長(2021年7月〜2023年7月) |
| 成田との関わり | 成田空港の「更なる機能強化」(第3滑走路の新設など)が四者協議会で合意した2018年3月、国土交通省航空局で首都圏空港を含む航空ネットワークを所管する部の部長だった |
| 今回の収録 | 2026年10月11日、成田市内 |
「劇的な変化を目の当たりにした」
動画 0:45〜
久保田氏は成田の仕事に就くにあたり、成田の昔の状態を「全部リサーチして、頭に叩き込んで」臨んだという。その成田が、3本目の滑走路を地元と合意するところまで来た。
成田が地元に受け入れられて、地元と共に発展していく。ある意味、劇的な変化を目の当たりにし、その過程に身を置いたということは、行政マンとしては非常に得難い経験でした。
久保田雅晴氏
空港と成田のまちの関係を、成田市副市長の側から振り返った話は、片山敏宏氏(成田国際空港株式会社 上席執行役員・元成田市副市長)のインタビューにある(なぜ成田は、羽田に負けなかったのか——片山敏宏氏に聞く)。
「成田の発展は、間違いない」
動画 1:13〜
成田が、3本目の滑走路も作っていく。年間50万回。そうすると、世界の各地から、そして日本の各地から、もっといろんな人たちが来ることになる。成田の発展は、これは間違いないと思います。
久保田雅晴氏
「世界の各地から、日本の各地から、もっといろんな人たちが来る」という言葉は、すでに成田の路上で確かめられる。NARITA TIME編集部が2026年7月31日から9月30日に成田の街頭で外国から来た46組に「なぜ成田に来たのか」を聞いたところ、33組(72%)は帰国前の滞在や乗り継ぎなど、空港をきっかけに成田へ来ていた(成田に外国人が多いのはなぜ?46組に聞いた来訪理由)。久保田氏の言う「発展」は、滑走路の完成を待たずに街で始まっている。
「成田の便益を、日本の隅々まで」|成田に住む人へ
動画 1:41〜
その地元の発展を、広く千葉県内、そして首都圏、そして日本に伝えていくような、そういう気持ちでもって、行政も、企業も、住んでいる人も、取り組んでほしいと思います。
久保田雅晴氏
空港の恩恵は、成田のまちに閉じるものではなく、千葉県、首都圏、日本へと広がっていく。その広げ役を、行政と企業だけでなく「住んでいる人」にも求めている。空港の整備を国の側で担ってきた人が、最後に住んでいる人に語りかけたところに、この言葉の重さがある。
音声では「成田の便宜」と聞こえる箇所を、文脈から「便益」として記した。動画の字幕も同じ。
成田空港の今後の計画|「第2の開港プロジェクト」
第3滑走路とB滑走路の延伸を含む成田空港の大型事業は、2025年6月12日の四者協議会で「成田空港第2の開港プロジェクト」という愛称がついた(千葉県の発表)。新しい旅客ターミナルの整備も含まれる。2026年1月には、千葉県と成田国際空港株式会社が設立したNRTエリアデザインセンターが、空港周辺の新しい都市圏の名称を「SORATO NRT AIRPORT CITY(ソラト ナリタ エアポートシティ)」と発表している(トラベルWatchの報道、2026年1月28日)。久保田氏の「成田の便益を、日本の隅々まで」は、この計画が進む先を、成田に住む人に向けて語った言葉である。
よくある質問
成田空港の第3滑走路はいつできますか?
C滑走路の供用時期は、2026年7月時点で示されていません。当初は2029年3月31日の予定でしたが、用地確保の遅れで延期されました。B滑走路の延伸部を先行して供用し、2029年度内の開始を目指しています。
第3滑走路(C滑走路)の予定地はどこですか?
現在のB滑走路の南側に、A・B滑走路と平行に3,500mで新設されます。事業の区域は成田市、多古町、芝山町にまたがります。
第3滑走路の着工はいつでしたか?
2025年5月に、B滑走路の延伸とあわせて本格着工しました(成田国際空港株式会社が2025年4月4日に国土交通大臣へ説明)。
用地買収はどこまで進んでいますか?
用地確保率は2026年3月末で全体89.7%(C滑走路の区域88.7%)、2026年6月末で90.4%です。C滑走路の区域は任意の取得が難航し、土地収用制度の活用が「やむを得ないものと受け止める」とされました(2026年7月10日の四者協議会)。
成田空港の発着回数は年間何回ですか?
2025年度の総発着回数は約25.4万回(速報値)です。コロナ前の2019年度は25.8万回でした。既存2本の滑走路での年間発着枠は、2025年10月26日から34万回です。
「年間50万回」とは何の数字ですか?
成田空港の「更なる機能強化」の完成後の年間発着容量です。2018年3月の合意で、計画上の容量を30万回から50万回に引き上げます。C滑走路の新設、B滑走路の延伸、夜間飛行制限の変更がそろうことが前提です。なお、既存2本の滑走路で運用上認められている発着枠は、2025年10月から34万回です。
B滑走路の延伸はいつ完成しますか?
2029年度内の先行供用を目指しています(2026年7月10日の四者協議会で確認)。延伸により2,500mから3,500mになり、大型機の離陸が可能になります。
成田空港の反対運動はなぜ起きたのですか?
1966年に閣議で建設地が成田市三里塚に決まる前後から反対同盟が結成され、用地の取得が進まないまま1978年の開港まで約12年かかりました。1991年からのシンポジウムと円卓会議で対立構造は解消され、地域との共生を話し合う体制に変わりました。久保田氏はこの歴史を「本当のボタンの掛け違い」と呼んでいます。
久保田雅晴氏はどんな人ですか?
元国土交通省航空局長(2021年7月〜2023年7月)です。1988年に運輸省に入省し、航空局の航空ネットワーク部長(2017年7月〜2019年7月)などを歴任しました。成田空港の第3滑走路の計画が地元と合意した2018年3月は、航空ネットワーク部長の在任中です。
久保田雅晴氏の発言の全文(整文・動画の時刻つき)
2026年10月11日に収録。言いよどみと重複を整え、意味は変えていない。( )は編集部の補足。素材は「成田の仕事にも…」という言葉の途中から始まる。動画の冒頭0:00〜0:14は、1:13以降の言葉を先に見せるコールドオープンとタイトルで、発言の順番はこの表のとおり。
| 0:14 | 成田の仕事にも、それなりの時間を費やして携わらせてもらいました。その時感じたのは、成田の仕事をするにあたって、成田の昔の状態も、全部リサーチして、頭に叩き込んで臨んでいました。 |
|---|---|
| 0:24 | 本当のボタンの掛け違い、不幸な歴史が本当にあったと思います。それを先人たち、地元の皆さん、そして行政、自治体、国も、多大な努力を払って、今日の状態になってきている。 |
| 0:45 | 成田が地元に受け入れられて、地元と共に発展していく。ある意味、劇的な変化を目の当たりにし、その過程に身を置いたということは、行政マンとしては、非常に得難い経験でした。 |
| 1:13 | 成田のこれからの発展ということについて言うと、発展は、多分間違いないと思います。成田が、3本目の滑走路も作っていく。年間50万回。そうすると、世界の各地から、そして日本の各地から、もっといろんな人たちが来ることになる。成田の発展は、これは間違いないと思います。 |
| 1:41 | その地元の発展を、広く千葉県内、そして首都圏、そして日本に伝えていくような、そういう気持ちでもって、行政も、企業も、住んでいる人も、取り組んでほしいと思います。成田の便益(音声は「便宜」)が、日本の国の隅々まで行き渡る。そういうような世界を、ぜひ目指してほしいと思います。 |
出典と引用について
- 国土交通省「成田国際空港の空港等変更許可について」(2020年1月31日)
- 千葉県「成田空港に関する四者協議会」の結果について(2026年7月10日)
- 成田国際空港株式会社「共生への転換」(成田空港問題シンポジウム・円卓会議の経緯)
- Aviation Wire「成田空港、C滑走路の用地『強制収用』検討へ」(2026年4月3日)
- 訪日ラボ「成田空港、5期連続増収で民営化以降最高を更新」(2026年6月2日)
- 千葉県「成田空港の更なる機能強化について四者で合意」(2018年3月13日)
- 千葉県「成田空港第2の開港プロジェクト」愛称決定(2025年6月12日)
- 国土交通省 大臣談話(2010年10月13日、年間30万回への合意)
- 環境省「成田空港の更なる機能強化に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見」(事業の区域)
- 成田空港周辺地域共生財団 報告書(年度別の発着回数)
- Aviation Wire「成田空港、C滑走路29年3月供用開始 5月から本格着工」(2025年4月4日)、同「成田空港の2025年度旅客」(2026年5月11日)
- 訪日ラボ「成田空港、発着枠を30万回から34万回に拡大」(2025年1月31日)、共同通信(秋田魁新報)「成田年間発着枠、34万回に拡大」(2025年10月23日)
- トラベルWatch「SORATO NRT AIRPORT CITY」(2026年1月28日)
この記事の発言の引用は、出典として「NARITA TIME」と本記事のURLを明記すれば引用できます。第3滑走路の数字は、上に示した国土交通省、千葉県、成田国際空港株式会社の資料と、それを伝えた報道が出典です。
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